2024年10月25日掲載

BOOK REVIEW - 『マネジメントのリスキリング ジョブ・アサインメント技法を習得し、他者を通じて業績を上げる』

大久保幸夫 著
株式会社リクルート フェロー、株式会社職業能力研究所 代表取締役 
A5判/256ページ/2500円+税/経団連出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 近年、若者が管理職を敬遠する傾向が強まっている。職責の重さや業務負担の増加による長時間労働、そうした負荷増大に見合う報酬が得られるか疑問であることなどが主な理由だろう。一方で、働き手の価値観や働き方が多様化する時代では、組織を適正にマネジメントする力が企業の業績を大きく左右する。そうした背景から、筆者はマネジメント力こそ再開発・再教育すべきスキルであると説く。本書は、リクルートでの長年の研究成果やマネジメント経験を基に筆者が導き出した、マネジャーとしてのスキルを高めるための理論と実践ノウハウが詰まった一冊である。

■ 第1章では、管理職が「不人気職種」である理由を明らかにし、マネジメントに対する誤解を正す。第2章では、本書の核となる「ジョブ・アサインメント」(以下、JA)の技法を紹介し、JAの四つのプロセス(目標開発、職務分担、達成支援、評価検証)と、各プロセスに対応する八つのマネジメント行動(計32項目)を解説。第3~9章では、JAを軸に業績向上や人材育成、モチベーションアップ、業務効率化、価値創造などのテーマに即したマネジメント手法を深掘りする。第10章では、締めくくりとして経験学習のプロセスと重要性に触れつつ、マネジメントの醍醐味(だいごみ)を紹介している。

■ 多忙な管理職でも効率よく学べるよう、各章末に「1分間で読める! サマリー」を設け、その都度ポイントの振り返りと理解を促している。また、「IMAGINE」「THINK」「TRY IT」と題した問い掛けやメッセージを随所に配置し、読者が考えたり確認したりすることで実務への応用を意識させているのも特徴の一つといえる。マネジメントに自信が持てない、あるいは苦労が絶えない管理職は本書を手に、マネジメントの楽しさややりがいを感じる契機にしてもらいたい。

マネジメントのリスキリング ジョブ・アサインメント技法を習得し、他者を通じて業績を上げる

内容紹介
働く人々や働き方の多様化、「人的資本経営」への関心の高まりなどを受けて、日本企業は今、従来のマネジメントのあり方を大きく変革する必要に迫られています。また、そのために、マネジャーのマネジメントスキルの再開発・再教育が喫緊の課題となっています。

マネジメントの役割は、「他者を通じて業績を上げる」ことです。本書は、マネジメントの基本技術である32の「ジョブ・アサインメント」(日常のマネジメント行動)の解説を中核に、マネジメントのポイントをテーマ別に整理し、ジョブ・アサインメントの各項目とつないで詳しく説明しています。マネジメント研修のサブテキストとして、また多面観察評価後の内省機会における思考の整理におすすめの一冊です。

【おもな内容】
第1章 キャリアとしての「管理職(マネジャー)」を考える
第2章 マネジメントには黄金法則がある ―ジョブ・アサインメント32の行動
第3章 業績を高める ―目標達成支援のマネジメント
第4章 人を育てる ―キャリア支援のマネジメント
第5章 やる気を引き出す ―エンパワーのマネジメント
第6章 効率を高める ―仕事と時間をデザインするマネジメント
第7章 価値を生み出す ―人的資本経営のマネジメント
第8章 テレワーク普及で求められるリモート・マネジメント
第9章 ダイバーシティの深化で求められる配慮のマネジメント
第10章 マネジメントの経験学習 ―多面観察評価を活かす