BOOK REVIEW - 『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む　採用の問題解決』

■ 「母集団形成に苦労している」「内定承諾の一歩手前で（他社に）競り負けてしまう」など採用活動の苦労や課題は多岐にわたる。人口減少の影響もあり、人材採用の難易度は年々上昇している。また、ほかの業務と比べ再現性が低く、担当者や責任者が代わると採用成果がガラッと変わってしまうという構造的な問題もある。本書では、就職・転職サイト「ワンキャリア」がキャリアデータの透明化を推進する過程で得たデータや企業・団体への採用支援実績を基に導き出した、採用の「再現可能なマニュアル」を公開する。

■ 本書は、理論編と実践編に分け、「新卒・中途採用」の知見のすべてを紹介している。理論編では、第1章で採用のゴールと全体像を明確にした上で、第2・3章で採用を成功させるための戦略を理論的に解説する。「企業イメージ」や「人事ポリシー」といった曖昧になりがちなものをデータ化、言語化することで、適切な採用戦略を練ることが可能となる。実践編では、より具体的に採用活動における課題とその解決策を述べている。例えば、第4章では「企業イメージ」を形成するためには、採用イベントや面接対応を通じた体験資産と、採用サイトや広報コンテンツ等のメディア資産が重要だとしている。自社をブランディングすることで、おのずと行うべき施策も見えてくるだろう。

■ 最終章となる第7章に掲載されている二つのケーススタディーを一緒に行うことで、採用戦略の解像度や再現性が上がったことを実感できるはずだ。また、「採用の9か条」を集大成として紹介している。本書で解説されている “新しい「採用手法」” や理論は採用戦略を考える上で企業規模、業種問わず参考になるだろう。