厚生労働省は12日、労働基準法改正に向けた専門家による研究会を開き、論点をまとめた「議論のたたき台」を提示した。終業から次の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」では、休息を原則11時間とすることを軸に、導入促進に向けた法規制強化の検討が必要だとした。
14日以上の連続勤務を禁じることや、副業の割増賃金を算定する際に本業と副業の労働時間を合算する現行制度の見直しにも言及した。企業側の負担を減らし、副業を促すとしている。テレワークに適用する「フレックスタイム制」の導入も盛り込んだ。
研究会は、たたき台を基に議論を重ねて年度内にも報告書をまとめ、その後、労使参加の労働政策審議会が具体的な議論を進める見通しで、法改正は1年以上先になるとみられる。
現状、勤務間インターバルの導入は努力義務で、2023年1月時点で導入企業は約6%にとどまっている。たたき台では、休息時間を原則11時間とした上で、適用除外を労使合意などで認めることや、規制の適用に経過措置を設けることで「より多くの企業が導入しやすい形で制度を開始し、段階的に実効性を高めていく形が望ましい」との意見がまとめられた。
12日の研究会では「将来的には、労基法上の規制として検討することが一致できたら望ましい」などの指摘が出た。
休日制度では、労使協定や運用によって長期間の連続勤務も可能となっており、労災認定基準を参考に、14日以上の連続勤務を禁じることを労基法で規定するよう盛り込んだ。
副業の割増賃金では、本業先と副業先の労働時間をそれぞれ把握し、合算して算定しなければならず、制度も複雑で企業の負担が重いとされる。ただ労働時間合算は健康管理の目的もあり、研究会は合算の仕組みは残しつつ、割増賃金の算定には適用しない方向で検討している。
出社と在宅勤務を組み合わせて働く場合を想定し、在宅勤務に適用できるフレックスタイム制の検討も示した。
研究会は学識経験者らで構成。今年1月から議論を進めてきた。
(共同通信社)