ストレスマネジメント専門家、公認心理師・精神保健福祉士
新書判/232ページ/950円+税/SBクリエイティブ
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 本書では、発達障害の傾向がありながら診断名がつかない「発達障害グレーゾーン」の人について取り上げ、グレーゾーンの部下に対して上司が取るべき対応や心構えを解説。加えて、女性のグレーゾーンの実情、グレーゾーンが疑われるパワハラ上司への対策など、最新の内容も盛り込んでいる。著者は公認心理師であり、カウンセラーとして行政機関・民間企業・病院などで約1万人の悩みを聴いてきた経験を持つ。著者自身の実体験を交えつつ、職場での事例とともにグレーゾーンの社員に起こりがちな「困りごと」と対応策を紹介する。
■ 第1・2章では、発達障害グレーゾーンの概要や特徴を示し、職場での適切な対応策を紹介。環境の変化によって困りごとが生じる事例やASD、ADHDの特性について解説する。第3章では、特に職場で問題となる事例について、具体的なケースを基に詳説。適応障害やうつ病などの二次障害にも触れる。第4・5章は、コミュニケーションやサポート方法を通じて、グレーゾーンの社員が持つ特性を生かす環境を築くポイントを押さえる。第6章では、上司等のサポート側の社員が抱えがちな悩みとそれに対する組織としてできる支援について述べる。社内の他部署や専門知識を持つ人に悩みを相談できる仕組みであるピアケア制度についても説明している。
■ グレーゾーンへの職場における対応では、疾病性(病気の有無や種類)よりも事例性(実際に生じている問題)を丁寧に把握する必要があると著者は主張する。「発達障害」や「グレーゾーン」といった言葉だけに惑わされるのではなく、上司と部下双方の困りごとに着目し、改善策を探すことが求められる。本書では、職場の困りごとにフォーカスし、起こり得る問題と適切な解決に導くためのプロセスを事例と併せて紹介している。当事者だけでなく、職場のストレスマネジメント等に関わる人事担当者にも役立つであろう。
内容紹介 発達障害に関する情報は多いですが、職場にいる彼らと共に仕事をすることについては、必ずしも正確な情報が広がっているとは言えません。本書のテーマである「グレーゾーン」は、発達障害の傾向がありながら、その診断が付いていない人たちです。なおさら正確な情報は、みなさんに伝わっていないのではないでしょうか。 |