2024年11月22日掲載

BOOK REVIEW - 『EXジャーニー ~良い人材を惹きつける従業員体験のつくりかた~』

沢渡あまね、石山恒貴、伊達洋駆 著
作家・企業顧問、法政大学大学院政策創造研究科教授、株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役 
A5判/232ページ/2000円+税/技術評論社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 近年、注目されている「EX」(Employee Experience:従業員体験)は、従業員がその企業で働くことによって得られる体験や経験を指すものである。そんなEXの指針となるような共通の枠組み、すなわちフレームワークを提示しているのが本書だ。バックグラウンドの異なる3人の著者が執筆することで、現場での実践知とアカデミックな知見の双方を盛り込んだ内容となっている。

■ 本書は、EXを「採用/入社準備」「オンボーディング」「評価」「異動/転勤」など13のプロセス(章)に分類し、具体的な体験機会と、要点や改善ポイントを解説する。例えば「採用/入社準備」であれば、その体験機会を「採用通知」「条件交渉」「入社前インストラクション」「入社手続き」「周囲の理解」「キャリア開発」と詳細に区分しているため、それぞれの機会でEXを高めるためのポイントを具体的に知ることができる。

■ また、本書の巻頭には、四つのライフステージに沿って、上記のプロセスと体験機会を一覧表にした「EX ジャーニーマップ」を付している。EXの全体像を体系化したこのマップを活用すれば、問題がある箇所を特定して、改善に向けた対話や議論へとつなげられるだろう。さらに、各章の冒頭には、実際にあった話をアレンジした小説形式のストーリー「EXと ほほエピソード」を添えていることも特徴だ。例えば「評価」では、毎週マネージャーと1on1で話す機会があったにもかかわらず、年度末の評価面談の際に初めてマネージャーから仕事のダメ出しをされ、C評価を伝えられるという内容となっている。どんな職場でも起こりがちなこうしたエピソードも参考にして、ぜひ自社のEXの改善・向上に取り組んでほしい。

EXジャーニー ~良い人材を惹きつける従業員体験のつくりかた~

内容紹介
人を惹きつけ、活かせる職場づくりの全体像がわかる

「手続きがとことん煩雑でアナログ。この会社 “地雷” では……」
「カジュアル面談の後、不採用通知が。なにこれ?」
「 “オープンな社風” のはずが、上意下達がすごい」
「中途入社したら、自力でなじめと言われても……」
「退職者は “裏切り者” 扱い。もう関わりたくない」

知らぬ間に優秀な人材を遠ざけ、能力を埋もれさせていないでしょうか?

良い人材がますます希少になるなか注目を集めているEX(Employee Experience:従業員体験)の知見を集大成。

・EXの全体像を体系化した「EXジャーニーマップ」
・EXを損なう原因がわかる「EXとほほストーリー」
・現場とアカデミック、双方からの「改善ポイント」

「それって人事とか経営の仕事でしょ?」で終わらせない、みんなでより良い職場をつくる対話をするための共通言語としてご活用ください。