遺族年金、原則5年給付へ 男女差を是正、配慮措置も

 厚生労働省は10日、厚生年金に加入する会社員らが死亡した際に配偶者が受け取る遺族厚生年金の男女差を是正するため、子どものいない60歳未満の現役世代は男女一律で原則5年間の有期給付とする方針を固めた。低所得の人や障害がある場合は65歳まで受け取れるようにする配慮措置を設ける。
 現行制度は男性が家計の主な担い手だった時代の考えを背景に女性側に手厚くなっている。女性の就業率が高まり、共働きが増える中、見直しが必要と判断した。来年の通常国会に関連法案の提出を目指す。
 現行制度で男女ともに60歳以降であれば生涯にわたって受け取れる点は変わらず、既に受け取っている人は見直しの対象外とする。
 現行の遺族厚生年金は子どもがいない場合、妻は夫の死亡時に30歳未満なら5年間の有期給付で、30歳以上なら生涯支給される。これに対し夫は妻の死亡時に55歳未満だと受給できず、受給権は55歳以降に発生し60歳から支給される。
 見直し案では、男女ともに60歳未満は5年間の有期給付に統一する。女性は対象年齢を現行の30歳未満から20年間かけて段階的に引き上げる。子どもがいる場合は18歳になる年度末まで年金を給付した上で5年間追加で給付する。
(共同通信社)