勤務していた会社で上司から日常的にパワーハラスメントを受け、うつ病を発症したのに労災と認めなかった労働基準監督署の処分は不当として、当時札幌市に住んでいた身体障害のある40代男性が国に処分の取り消しを求めた訴訟で、札幌高裁(斎藤清文裁判長)は19日、訴えを退けた一審札幌地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
訴状によると、男性は2015年に身体障害等級5級の認定を受け、16年12月、建築関係の会社に障害者採用で就職。札幌支店に配属後、指導係の女性に「書類作成の際、ブツブツうるさい」などと注意されたり、男性課長に極度の緊張を伴う朝礼での連絡役を強要されたりし、17年6月にうつ病と診断された。
休職後の同12月、休職期間満了を理由に一方的に退職扱いされ、札幌東労基署(北海道)に労災を申請したが認められなかった。2度の審査請求も棄却されたという。
今年2月の札幌地裁判決は、指導係の女性による指導は、精神障害の労災認定基準に照らし「中」程度の心理的負荷があったと判断したが、それ以外の言動はいずれも「弱」にとどまるとして業務とうつ病との因果関係を認めなかった。
(共同通信社)