BOOK REVIEW - 『なぜ、あなたの指示は伝わらないのか？——メンバーの力を最大限に引き出す「伝え方」「任せ方」のコツ』

■ 著者は、大手総合系コンサルティングファームのコンサルタントとして働く傍ら、YouTubeチャンネル「マナビジネス」でリーダーシップやプレゼンテーション、思考法など仕事術についての動画を配信。自身が「仕事ができない人」だった経験に基づき、多くのノウハウを発信しており、本書は「人を動かす」リーダーになるための考え方・伝え方をテーマとしている。

■ 「メンバーが指示どおりに動かない」「指示に時間を費やすぐらいなら自分でやったほうが早いので、結果的にメンバーから仕事を巻き取って仕上げる」——こうした悪循環の経験があるリーダーは少なくないだろう。第1章ではメンバーが指示どおりに動かない原因を整理し、対応の仕方を示した上で、具体的な指示について第2章で掘り下げる。「クッション型指示」「目的優先型指示」など分かりやすい独自の用語を使用した解説は、リーダーが抱える幅広い悩みをカバーする。第3章では「自分でやったほうが早い」と感じてしまう、指示の出し方が苦手なリーダーのための克服方法を、第4章では作業管理とコミュニケーションの切り口から、リーダーとメンバーそれぞれの問題を洗い出し、メンバーをサポートする手段を詳解。さらに、報告・連絡・相談しやすくなるコミュニケーションの仕組みづくりを第5章で取り上げる。

■ 第6章ではメンバーが自走する「理想のチーム」のつくり方と、これから求められるリーダーシップについて解説。従来の「支配型リーダーシップ」と「支援型リーダーシップ」の両面をフォローする「ハイブリッド型リーダーシップ」の有用性を説く。リーダーの行動次第で、メンバーは「指示待ち」にも「指示なし」にも変化するという。本書が示すノウハウを、取り入れられるものから実践することで、理想のチームに近づいていくだろう。