BOOK REVIEW - 『図解でわかる！　形骸化させない研修体系とスキルマップのつくりかた』

■ 産業構造の変化、VUCAの時代への突入、人的資本経営の台頭等に加え、雇用慣行や労働者のキャリア観の変化など、企業や労働者を取り巻く環境は日々変化している。なおかつ、日本企業では労働人口減少による人材確保といった課題も深刻だ。こうした変化や課題に対して企業に求められるのが、人材育成の強化である。本書では、形骸化しがちな研修やスキルマップを生かすための具体的な方法について、フレームワークをはじめ、多くの図解を用いながら分かりやすく解説する。

■ 制度の あるべき姿だけでなく、現場に即した実行しやすい内容や手法を意識した設計を前提に、STEP1では、自社で求める人材像を明確にし、それを基に育成方針を策定する方法を詳説。STEP2ではOff-JTとOJTのバランスを取りながら、研修体系とスキルマップを検討、設計する際のフローを伝授する。STEP3では、STEP2で策定した仕組みを運用する際のポイントと、浮かび上がってくるであろう問題への対処法を紹介している。自社で活用できる本書オリジナルのフレームワークを収録し、記載例とワンポイントアドバイスを添えている点も特徴だ。各STEPの末尾には「裏技伝授」というコラムを設け、「 “研修バカ” にならないように注意」「育成制度だけでは育成できない」など、人事担当者のリアルな悩みや疑問にもアプローチしている。

■ 本書は「図解でわかる！　戦略的人事制度のつくりかた」「図解でわかる！　失敗しない人事制度の運用のしかた」に続くシリーズ第3弾である。前2作と同様に、著者らの長年にわたるコンサルティング経験に基づいた実務に生かせる知識やノウハウが詰め込まれている。「研修内容が現場に浸透しない」「スキルマップを活用しているが社員の成長を感じられない」「仕組みを変えたいが何から始めればよいか分からない」といった人事担当者の課題を解決する助けとなるだろう。