A5判/208ページ/2500円+税/中央経済社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「女性活躍」、それに付随する「ジェンダー・ダイバーシティ」などの単語や概念は、既に社会に知れ渡っている。しかし、それらを推進することが「なぜ、どのような観点で重要なのか」について、本質的に理解している人はそう多くない。本書は、その問いに対する一つの回答を機関投資家の視点で導き出し、企業が取り組むための方向性を提示している。
■ 第1章では、日本企業におけるジェンダー・ダイバーシティを扱う。日本固有の性別役割分担意識から女性活躍施策までの変遷をたどり、女性活躍の現状と課題を端的にまとめている。第2章では、G7諸国のジェンダー・ダイバーシティの取り組みをピックアップしており、第1章の日本との立ち位置の違いを認識できる。これら2章の議論に触れることで、本書で最も紙幅を割く第3章「企業がどう対応するべきか——12人の機関投資家による提言」の理解を深めることができる。
■ 第3章のジェンダー、世代(経験)、投資対象・手法、地域等が異なる12人の機関投資家の提言は、「女性活躍の歴史的変化と投資家が求める女性取締役像」「企業の競争力を高めるのは『見せかけの女性活躍』にとらわれない,実のあるダイバーシティ経営」など、視点や論拠こそ異なるが、企業のジェンダー・ダイバーシティへの向き合い方として共通する本質が含まれている。まとめとなる第4章を読むと、企業価値向上のためになぜダイバーシティが重要なのかがより明確になるだろう。主な読者対象となる企業経営者や投資家だけでなく、ジェンダー・ダイバーシティへの取り組みを検討し始動させようとしている人事担当者にとっても、学びが多い一冊となっている。
女性活躍で切り拓く企業の未来——企業価値向上のグローバルスタンダード 内容紹介 本書は日本企業の経営者、企業価値向上を推進するすべての方々に向けて、機関投資家がなぜジェンダー・ダイバーシティの必要性を企業価値向上という文脈で訴えているのかを整理し理解していただくことを目的としています。 本書でぜひ必要性と重要性を再認識していただければと思います。 |