2025年02月14日掲載

BOOK REVIEW - 『訴訟リスクを回避する “3大労使トラブル” 円満解決の実践的手法——ハラスメント・復職トラブル・残業代請求』

西川暢春、井田瑞輝、木澤愛子 著
弁護士法人咲くやこの花法律事務所 弁護士 
A5判/240ページ/2500円+税/日本法令 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 多数の労働者を雇用する企業において、人事労務に関連する従業員とのトラブルは悩みの種の一つである。万が一訴訟に発展した場合、長い時間と費用を要するだけでなく、報道やSNSで情報が拡散されることによるレピュテーションリスクも懸念される。特に、「ハラスメント」「復職トラブル」「残業代請求」は労使トラブルの代表格であり、実際にこうした問題が発生したことのある企業は少なくないだろう。本書では、訴訟に発展させず、話し合いによって解決する方法を紹介する。

■ 本書は全3章で、それぞれ上記の3大労使トラブルを取り上げる。各章では、実際の相談事例を基に、前提としての法規制の内容や訴訟に発展した場合のリスク、具体的な対応方法などを解説。この “対応方法” が本書の肝であり、「ハラスメント」であれば、適切な相談対応と調査の進め方に加え、ハラスメントの可能性が高い場合/低い場合の両方について、円満解決に導くための方法を伝授する。また、「復職トラブル」では、“健康は回復しているが問題社員のため退職してほしい場合” といった、表立って言いづらい実務担当者の悩みにも応える内容となっている。

■ 本書は、“円満解決シリーズ” の3作目となる。1作目『問題社員トラブル円満解決の実践的手法——訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方』、2作目『労使トラブル円満解決のための就業規則・関連書式作成ハンドブック』と併せて読むことで、幅広いケースへの対応策や準備しておくべき規定類の整備など、より実務に生かしやすくなるだろう。労使トラブルが訴訟に至ってしまうことは、企業と従業員の双方にとって望ましいことではない。本書を活用して、“円満解決” を目指してほしい。

訴訟リスクを回避する “3大労使トラブル” 円満解決の実践的手法——ハラスメント・復職トラブル・残業代請求

内容紹介
職場内のパワハラトラブル、私傷病休職からの復職可否をめぐるトラブル、未払い残業代トラブルはいずれも企業を悩ます労使トラブルの代表格です

多くの企業の顧問弁護士として活躍し、労使トラブルを企業側の立場で解決することに尽力してきた弁護士3名が、この3つのテーマについて、実際に問題が起きてしまった際に、訴訟に発展させずに、合意による解決を実現する話合いの進め方を解説しています。
 もしも問題がこじれて裁判にまでなると、長い時間と多額の費用がかかり、業務にも支障が出るなど企業に大きなダメージとなるので、話合いによる解決がベストです。
 本書では、トラブル事例ごとに、訴訟に発展してしまうパターンを挙げ、そうならないよう企業はどのように当事者と向き合い、話合いを進めていけばよいかを、著者らの実践を踏まえて示します。
 『問題社員トラブル円満解決の実践的手法 訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方』、『労使トラブル円満解決のための就業規則・関連書式作成ハンドブック』の著者による、円満解決シリーズ待望の3作目となります。