明倫国際法律事務所 代表弁護士・弁理士
A5判/284ページ/3100円+税/第一法規
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 令和5年度の厚生労働省調査では、過去3年間に職場でパワハラを受けた経験のある社員は19.3%であった。令和4年4月からパワーハラスメント(以下、パワハラ)防止措置が全事業主の義務となる中、インターネット上にはさまざまな情報があふれており、ハラスメントの線引きに困っている担当者も少なくないだろう。本書では、人的資本経営の伴走支援等の分野で豊富な実績を有する弁護士が、正当な指導なのかパワハラなのかの判断のベースとなる「4つの指標」について、100の裁判例の分析を通じ詳説する。
■ 全18章の解説編と12の事例編で構成し、解説編では、テーマごとに裁判例を引きながら、パワハラの判断基準を詳述する。例えば第5章では、パワハラを認定する「4つの指標」に照らし合わせながら、同様の言動をしていてもパワハラと認められたケースと認められなかったケースを紹介し、その違いを説明。第17章では、“なぜ、パワハラを防がなければならないのか” という根本的な問いについて、企業経営の視点から解説する。「そこが知りたい! ホンネの相談室」と題したコラムは、「パワハラと録音」「ハラスメントの自覚のない管理職をどう啓発するか」や「カスハラとパワハラの微妙な関係」など、担当者のリアルな疑問・悩みにアプローチした学びの多い内容となっている。さらに事例編では、解説編の内容を踏まえ、事例中の言動を「4つの指標」に当てはめ、パワハラ認定される根拠やその背景事情を解説している。
■ 多様な類型、背景事情を持つパワハラ事例を丁寧に掘り下げ、単に「この場合はパワハラに当たる/当たらない」という知識を提供するものではなく、パワハラに関するどのような問題が発生しても落ち着いて対応するための、寄って立つ判断基準となる「指標」の使い方をマスターできる一冊だ。その先にある、心理的安全性の高い、生産性と創造性の高い職場を実現する上で、大いに役立つだろう。
たった4つの指標で分かるパワハラの該当性 ~活力ある職場へと導く相談対応のツボをつかむ~ 内容紹介 正当な指導なのかパワハラなのかの判断の礎となる「4つの指標」(判断基準)を、100の判例とともに詳説。事例編では、具体的事例に基づき4つの指標の当てはめを実践・判断や相談対応のポイントを掲載。該当性判断のその先にある、「心理的安全性を高め、積極的、自発的で、創意工夫のある、生産性の高い組織」を実現するための、揺るぎのない土台をつくる羅針盤となる一冊。 |