2025年02月14日掲載

BOOK REVIEW - 『冒険する組織のつくりかた 「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』

安斎勇樹 著
株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO 
A5判/448ページ/2400円+税/テオリア 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ ビジネスは「戦争」であり、会社は「軍隊」だった——ビジネスの世界をそう見立てる筆者は、「軍事的世界観」からの脱却を提起し、「冒険的世界観」の重要性を説く。ここでの「冒険」とは探究(Quest)を意味し、「会社中心」から「人生中心」のキャリア観へと大きく転換する時代において、“組織による「社会的ミッションの探究」と、個人による「自己実現の探究」” の両立を目指すべきと主張する。本書は、大手・ベンチャー含め、350社以上の組織づくりを支援した筆者が「百科事典」と称するほどに、これから求められる組織づくりのノウハウが詰まった一冊である。

■ 第Ⅰ部「理論編」と第Ⅱ部「実践編」から成り、第Ⅰ部では、会社の世界観を変える「5つのレンズ」(目標、チーム、会議、成長、組織)を示しつつ、筆者が独自に考案した組織モデル「CCM(Creative Cultivation Model)」を紹介し、社会的ミッションと自己実現の探究をどのように整合させていくか、理論立ててまとめている。その上で、5つのレンズに対応した「5つの基本原則」に触れ、組織づくりを実践するための根本となる考え方を説く。

■ 第Ⅱ部では、第Ⅰ部で確認した5つのレンズ・基本原則に即し、カギとなる具体的な実践方法を20の「KEY」に分けて紹介する。例えば「目標」に関しては、現場の目標が無機質にならないようにアレンジするコツを紹介したり、軌道修正するための「目標リフレーミング」のチェックリストを用意したりするなど、実務に根差したポイントを示している。このように個別具体的なケースが数多く取り上げられているため、読者が自身、あるいは自社について課題と感じる部分から優先的に読み進めるのもよいだろう。人事パーソンに限らず、経営者やマネジャーにも手に取っていただきたい。

冒険する組織のつくりかた 「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法

内容紹介
【「会社がつまらない」すべての人へ】
「軍隊」から「冒険」へ——人と組織の “世界観” をアップデートする本

いま、働く人々の価値観がシフトし、組織に蔓延する「軍事的な世界観」は時代遅れのものとなっている。 しかし、古いものの見方を捨てられていない組織・チームは少なくない。

マネジャーのしんどさ、経営者の孤独、現場の息苦しさ、人材難… すべての原因は「世界観のズレ」にある。

これを乗り越えるためのキーワードが「冒険」だ。 人を道具化する「軍隊」のようなチーム観を脱却し、 個人のワクワクや探究心を包み込む「冒険的世界観」へシフトするには——?

気鋭のコンサルティングファーム代表にして、東大の研究者でもある著者の集大成!